2014年1月22日水曜日

地下鉄で

「すみません、すみません」
地下鉄に乗り込むと、入り口近くに坐っている方から話しかけられました。
たいていこういう時は、
「車いすを一人で運転しているんですか」とか、
「介護されている方はえらい」と言う話の展開になるので、
そんな会話を予想していたのですが、
「駅員さんはどうしたら来てもらえるんですか」
と言う質問でした。

カートをお持ちの高齢のご婦人でした。

「駅員さんに直接頼むんです」と、私。
「携帯で?」
「いえ、駅に行ったときに」

その方にとっては、駅員さんが乗車のお手伝いに出てきてくれること自体が「信じられない」ことのようでした。

その方は、私と同じ駅で降りる方だったようで、駅員さんが車いす降車のために用意して下さっていたスロープを使って地下鉄を降りられました。
そして、
「たすかったわ」
と笑顔を見せました。

 日本の電車はホームと車両の幅があるところの方が今も圧倒的に多いですね。
 人が安全に乗り降りできる設計とは残念ながら言えません。

昔から車いすで電車を活用してきた私は、エレベーターもエスカレーターもなく、ホームと車両の段差も大きかった頃の大変さを少しだけ知っています。
対応する方々も大変だったと思いますが、設備も何もないことを知っていて乗ろうとする方も、心を奮い立たせる覚悟がいりました。

「なぜ今のじかんに来るの」「なぜいつも一人で来るの」
いつの日も繰り返された質問やつぶやきに、胸が痛んだものでした。

今、エレベーターなどさまざまな設備がつくられて、ないところは「おくれている」と多くの人が認識する社会になりました。
 でも、そんななかで、助けを求められない方々が確実にいらっしゃるんですね。

私は、1回1回駅員さんにお世話にならなくては利用できない電車より、車いすですーっと乗り込める(今で言う大江戸線のような)システムを望みながら鉄道や地下鉄を利用してきたし、必ず駅員さんに行き先を確認されなくては移動できないことに不自由さを感じてきたけれども、

これからは段差解消のスロープも利用したい人が頼めるしくみが必要になるのかも知れません。

私が知っている車いすユーザーのアクセスの歴史は20年ぐらいですが、
その間でもいろんなやりとりがあり、たくさん言い合いをしてきました。

スロープユーザーが増えていったとき、各鉄道会社はどのようにお客さまに対応していくのでしょう。
そんなことを考えた、副都心線の一コマでした。

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