読み終えて。
パレスチナ人としてガサ地区に生まれること、生きていくことがこんなにも虐げられ、絶望と隣り合わせなのだということを、ほとんど物事を知らない私にもわかるように語ってくれる本でした。
個人の体験として、率直に、でも憎しみを含まないで書いてあったからだと思います。
著者は自分の体験を、全体化してとらえないーー。あくまでも個人の体験として、その場その場で出来事を対処し、物事を引きずらない。たとえば一つの出来事でイスラエルの人に何かされたとしても、その一つの出来事でその国の人をひとくくりにして判断しない。そういういきかたをしている人なのだそうです。
だからといって人生を運命に任せてしまうのではなく、諦めないで忍耐強く立ち続け、歩き続けて、自分の生きたい方向性を見失わない。
自分の人生を信じて、周りを見る目を失わず、自分に対する生きる希望を作り出していく。
過酷な現実が次々に起こる中、そういう心を持ち続けて生きていくことは、本当に人生に対しての真剣なチャレンジだなあと思います。
積極的に生きるということは、どんなに絶望を感じさせようとする環境であっても、希望を作り出しながら生き、何かの時には思考を正しく働かせるということなのですね。
私の生きてく環境は、本当に至れり尽くせり。なのに私は今のレベルでも、自分の心を保てないことがあります。
人生の旅を積極的に歩こうと、そしてその時できることはやろうと思いました。